スペインのワイン生産量は約4000万ヘクリットルで、フランス、イタリヤに次いでなんと世界第3位!!主にドイツ、アメリカ、日本などへ輸出されており、「高品質でコスパがよく、気軽に飲める美味しいワイン」として世界で愛飲者が急増しています。
スペインは約100万ヘクタールの世界一のブドウ生産国でもあり、EUの約3割をシェア。ブドウは約400種類以上と豊富ですが、ワイン用のブドウは20種類に厳選。地域の気候と環境に合わせた多種多様なワインが楽しめます。
高品質の秘密 技術はフランス・ボルドーから
スペインのワイン造りの歴史は3000年。古代ローマ時代からワインを醸造していたスペインですが、以前のスペインワインは早飲みや粗悪なものも多く、今のような高品質なものではありませんでした。
19世紀後半、革命的なことが起こります。
1863年ごろにフランスのブドウ畑で「フィロキセラ」という害虫被害が発生し、フランスワイン業界が危機的な状況となりました。そこで、ボルドーの一部の醸造家たちは代わりとなるワインの産地を求めて、リオハへ醸造技術を伝えにやってきたのです。そのフランスの技法は木の発酵樽で発酵したのち、オーク樽で熟成させる伝統的なスタイルで、その後リオハのワインは躍進しました。
1991年リオハはスペインで最初の特選原産地呼称D.O.Caを獲得することになり、2013年にはリオハのグラン・レザルバは世界一美味しいワインに選出され、最高峰赤ワインとなりました。
スペインの気候と産地
スペインの国土は50.5万平方キロメートルで、縦にも横にも広く日本の約1.34倍の広さがあります。ブドウの栽培は山川があり昼夜の寒暖差が大きく、乾燥しているところが好まれます。北部にある2つの大きな川「エブロ川」と「ドゥエロ川」がワイン栽培に恩恵を与えています。気候と産地を地図で見ながら、スペインの有名なワイナリーと特徴をご紹介します。
北部地方
北部は四季が感じられる、年間通して涼しくて雨が多い「海洋性気候」は最高級赤ワインの「①ラ・リオハ」や「②リベラ・デル・デュエロ」が有名。爽やかな辛口白ワインは「③ルエダ」がポピュラー。
地中海地方
バルセロナの南下に位置するカタルーニャ地方は「地中海性気候」で温暖。CAVAの中でもフェルシネで有名な「④ペネデス」や標高700mで作られるリオハに次ぐD.O.Ca「⑤プリオラート」の赤ワインは是非とも試してみたい。
大西洋地方
西部に属するガルシア州は最も降水量が多い「⑥リアス・バイシャス」はスペインで最も高貴な白ワインで、魚介類と相性も良く、別名「海のワイン」と言われています。
内陸部
「メセタ」と呼ばれる赤色度と黄色土の土壌からなる中央大地がある内陸部は「⑦ラ・マンチャ」。「マンチャ」とは「乾燥した土地」というアラビア語が語源で、夏は45度、冬は−15度と朝晩の寒暖差が激しい「大陸性気候」で乾燥しており、16万haのうち8割が白ワイン。
コスタブランカ
地中海気候の「⑧アリカンテ」は夏は暑く、乾燥しており、雨がほとんど降らないので、フルーティーで甘みのあるブドウが多い。
南部(アンダルシア地方)
「⑨ヘレス」の酒精強化ワイン「シェリー酒」が有名で、甘口と辛口がある。
スペイン独自の品種
赤ワイン用❶ テンプラニーリョ Tempranillo
スペインで最大栽培面積21%を誇るテンプラニーリョは粘土石灰石土壌の涼しい場所でも育つ、リオハ原産の早熟ブドウ。スペイン語でTempranoテンプラーノは「早い」という意味があり、粒が小さく果皮が薄く、比較的早熟しやすいことからこの名前が付いたとも言われています。香りと酸味と渋みが豊かで、滑らかなタンニンを味わえるスペインのフルボディー高級赤ワインに欠かせない品種です。名産地はもちろんリオハ、リベラ・デル・ドゥエロが有名。
赤ワイン用❷ ガルナッチャ Garnacha Tinta
スペインの東北部アラゴン地方原産。干ばつ、病気や害虫にも強く、世界で40万ヘクタールと最も栽培されています。その半分以上、24万ヘクタールがスペインで栽培されています。フランスでも生産量が多く、「グルナッシュ」と呼ばれています。
ブラックチェリーやイチゴ、ラズベリーのような甘い果実の甘さとシナモンの香りがあり、酸味が控えめで、アルコール度数は比較的高くなる品種です。
赤ワイン用❸ モナストレル Monastrell
バレンシアが原産という説もあるモナストレル。フランスではムールヴェードル(Mourvèdre)、地域によってはマタロー(Mataró)とも呼ばれます。
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白ワイン用①アイレン Airén
アルコール度数が高く、酸味が強いのが特徴。ブランデーの原料にもなるため、スペインのブドウ総生産量面積の1/3を占める。特に「ラ・マンチャ」のような内陸部で特に雨が少なく、長期間の日照りに耐えることができるため、世界中でも多く栽培されています。
白ワイン用②アルバリーニョ Albariño
果皮が厚く、香りが高く豊かな酸味がある最高級品種。主にガリシア州の「リアス・バイシャス」とポルトガルのミーニョ地方で栽培されています。
白ワイン用③ベルデホ Verdejo
厳しい暑さと寒さだけでなく、干ばつに強く、主に「ルエダ」の白ワインに用いられます。フレッシュで香り高く、コクのある味です。
CAVA用④マカベオ/ビウラ Macabeo/Viura
マカベオ/ビウラはフルーティな香りと味があり、「CAVAカバ(スパークリングワイン)」の醸造に使われる品種。
高品質ワインと格付け
以前は産地呼称の不正使用問題があり、19世紀後半以降ワイン法により6つのカテゴリーに分類され、地域や品質を厳しく管理されることになりました。D.O.Caつまりデノミナシオン・デ・オリヘン(原産地呼称制度)が最高峰とされており、現在リオハとプリオラートのみが認定されています。
熟成規定
スペインのワイン法では樽熟成の期間に応じて、クリアンサ、レゼルバ、グランレゼルバという3つのカテゴリーに分けられます(カバ、シェリーを除く)。(樽の容量は330ℓ以下)
赤ワインと白ワイン&ロゼによって年数が若干異なりますが、オーク樽熟成を経て長年寝かせることで美味しいワインが仕上がります。
スペインワインはハイコスパの理由と結論
厳正なるワイン法により、質の良いワインにも関わらず、独自のブドウの品種は格付けがされてないものが多く、まだまだ未開拓の部分が多いスペインワイン。多くのブランド力もまだ確立していないので、フランス・ボルドーの技術を引き継いだ質の高いワインを安く味わえることができます。味とクオリティーが最高!そのことにより、世界中に愛飲者が増えています。
日本で買えるお勧めワイン
まずは世界一を誇るリオハの赤ワイン♪
リベラ・デル・デュエロなどの赤ワイン
スペインは安くて美味しい未開拓な白ワインの宝庫
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